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えいがのはなし

映画に対する感想を自由にまとめたものなのでネタバレを含むレビューがほとんどです。未見の方は注意してください!

ベン•アフレック初監督作「ゴーン•ベイビー•ゴーン」

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監督ベン•アフレック、主演ケイシー•アフレック。アフレック兄弟によるサスペンス映画です。非常に素晴らしい作品だったので、少しだけ感想を残しておきます。

 

サスペンスと言いつつ、この映画の面白さは人間の描きこみにあります。作品を見た人が読んでいることを前提にしているので詳細は省きますが、真犯人の少女誘拐の動機は、善意によるものでした。あの母親では娘が幸せになれないからこっちで引き取ってやるという、言ってしまえばかなり独りよがりの善意ではあるのですが、しかし、ラストにアマンダの母親が娘のことほったらかしでデートに出かけてしまう様を見ると、なんだかそれも間違いではないように思えてきます(彼女は初めから母親失格として描かれていますが)。この事件に関わった二人の警官は真実を隠すために死に、スケープゴートとして利用されたマフィアも殺されてしまいます。ある意味、彼ら(特に警官二人)はアマンダのために死んでいったとも考えられますね。

 

しかし、主人公のパトリックは彼らに対する「情」よりも「法」「秩序」を優先します。クライアントであるアマンダの母親に対する義務もあったことでしょう。一見すると正義を貫いたかのように思える彼の選択ですが、最後に示されるその結果は、必ずしもそうとは言い切れないとも思わせます。

 

つまり、どっちを選んでも正解ではないという、非常に残酷でモヤモヤする終わり方になっているわけです。そしてそこから浮かび上がる真実は、誰かの善意=正義ではないということ。善意も正義も相対的なものでしかないし、この世界ではどの善意を選択しても正解にはならないことがあるという、すごく意地の悪い、しかし、避けられない真理を突きつけきます。うーん…つらい…。

 

ちなみに「ゴーン•ベイビー•ゴーン」というタイトルですが、2つの意味があるのではないかと考えます(英語に強くないので、あくまで推測ですが)。まず、失踪した女の子という意味。「ゴーン•ガール」と同じ捉え方です。そして、結局事件の終わらせ方で仲違いし、別れることになってしまったアンジー、すなわち「パトリックのもとを去ったベイビー=愛しの女性」の意味です。英語に詳しい方で文法的にこうだろう、という意見のある方はコメント欄にリアクションしてもらえたら幸いです。