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えいがのはなし

映画に対する感想を自由にまとめたものなのでネタバレを含むレビューがほとんどです。未見の方は注意してください!

「フレンチアルプスで起きたこと」

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こんかいは「フレンチアルプスで起きたこと」について。スキー旅行にやって来た家族が分裂の危機に陥り、なんとか落とし所を見つけていくまでを描くコメディ?映画です。

 

レストランで昼食中に雪崩にあった父、母、姉、弟の4人家族は、父親のとったあまりにもガッカリな行動により、「頼れるパパ」を失ってしまうところから話は始まります。要するに、家族を放っておいて父親のトマスは一人で逃げてしまったんですね。挙句、怯える家族の元へ戻って来ても、知らん顔で「どうした?なんか問題でも?」とシラを切り通す始末。「認識の違いだ」とかなんとか屁理屈をこねくり回して、自分の非を認めようとしません。

逃げたのは反射的な行動だし、父親の威厳が地に堕ちるとしても、さっさと素直に謝っておけばたぶん大ごとにはならなかったでしょう。しかし、母親として人一倍責任感の強い、真面目なエバは、そんな父親の態度に失望し、とても悩んでしまうのです。信じがたいほど間抜けな言い訳を繰り返すので、母親の方もリアクションがヒステリックさを増していきます。

緊張感が最高潮まで高まったとき、アバはトマスに客観的な証拠を突きつけます。トマスのプライドはボロボロ。次の朝、トマスは家族と離れて1日を過ごし、勘違いでイケメン扱いされて傷ついたり、ノリも合わないのに若者の乱痴気騒ぎに加わってみたり、すこしずつみじめな気持ちが蓄積され、最終的に泣きます。完全に子どもです。男として、夫として、父として、プライドを捨てます(というか維持できなくなりました)。完全に心が折れます。エバの方も「やれやれ」といった感じで、なんとか一応の着地点を見つけることで、この事件はひとつのゴールを迎えます。

笑ってしまったのが、ラストのバス事件。空港?に向かう下山のバス、あまりにもたどたどしく下手くそな運転にエバが大騒ぎし、バス内はパニック状態に。結局みんなで下車して徒歩下山になるわけですが、いつまでも山道は続くし、夜は近づくし、なんとなく「バスに乗っておけばよかった…」という後悔が漂い始めたところで話は終わります。なんという、意地悪な終わり方でしょう。結局、エバも母親としての責任感ゆえなんでしょうけど、ヒステリックなところがあるというか。きっとトマスも内心あきれてるんでしょうけど、雪崩で逃げた前科があるのでお互い様なんですよね。男、そして父親であるがゆえにちっぽけなプライドを守りたがり、母親であるがゆえに不安に苛まれ、ちっぽけなことで大騒ぎしてしまう。こんかい、事件自体がそれほどちっぽけでもないのですが、こういったすれ違いの積み重ねにどう妥協点を見つけていくか、というところに夫婦や家族のジレンマがあると思います。誰でもおかしそうなミスから始まる関係のこじれがリアルで、ヘタなホラーよりも怖かったです。