読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

えいがのはなし

映画に対する感想を自由にまとめたものなのでネタバレを含むレビューがほとんどです。未見の方は注意してください!

アイアンマン2 / 父と子のときを超えた絆

ウォルトディズニースタジオ マーベル アメコミ マーベルスタジオ アイアンマン MCU ロバートダウニーJr. ヒーロー 洋画 マンガ原作

f:id:StarSpangledMan:20160609184510j:image

「アイアンマン」「インクレディブル•ハルク」の成功を受け、本格的に始動したMCU。「アイアンマン2」ではSHEILD創設者ハワードスタークやSHEILDエージェントのブラックウィドウが登場し、一気に世界が広がる。「アベンジャーズ」に向けた布石を着々と打ち、徐々に盛り上がりを見せる本作の感想を今回はまとめたい。

 

まずはデザインについて触れたい。ヒーロー映画で"カッコよさ"は最優先事項である。アイアンマンのスーツは着実に進化している。冒頭のスーツケースから取り出して変身するシークエンスはまるで仮面ライダーのよう。シリーズ屈指の人気を誇るタイプではないだろうか。ウィップラッシュのスーツやブラックウィドウのコスチュームは自分好みのもの。特にウィップラッシュの機能はどう考えても重いし引きずるし実戦向きでは到底ないのだが、とりあえず見た目がカッコいいのでOKというのが良い。ブラックウィドウもSHIELDの存在を強く印象付けた。警備員をなぎ倒す華麗なアクションにも惚れ惚れする。

 

ストーリーについて。まずはトニーとローズの友情の進展を考える。ふたりはお互いの能力を信頼し、仕事でもプライベートでも正直に接する。このあとも続くアベンジャーズたちの戦いの中で、ふたりの協力は大きな役割を果たしてきた。「シビルウォー」での展開を知っているとちょっと切なくもある。いまでこそ、再確認したい関係性だ。

 

アイアンマン2」の核心部分にも触れてみる。本作はヒーロー活動を開始したトニーが徐々にスーツに対する依存を深め、みずからのアイデンティティに向き合う話である。彼の人格形成に大きな影響を及ぼしたのが父ハワードとの関係性だ。ハワードは仕事に打ち込んでいたため家庭に構うことがなく、兄弟もいない一人っ子のトニーは寂しい子ども時代を送った。"父の愛情を受けられなかった"というコンプレックスは彼を傷つけ、彼は誰かに甘えることができなくなってしまった。だからトニーはなんでもかんでもひとりで全部やってしまう(幸か不幸か能力が高いのでそれができてしまう)のである。

 

心にそうしたしこりを感じてきたトニーだったが、ハワードが後世に残した映像やメッセージをみるうちに、じぶんは決して父に見捨てられていたわけではないと知る。ハワードは息子を信頼し、新元素を生み出すためのパズルの最後のピースを残しておいた。時空を超えた親子の愛と絆が目の前の問題を解決する。なにかと低評価を受けがちな「アイアンマン2」だけど、丁寧に読み解けばロマンティックで感傷的な良作だと思う。

 

トニーは父の偉大な力によって救われたと言える。しかしそもそも、彼が窮地に陥ったのも元はといえば父が蒔いた種のせいである。こんかいのヴィラン、イワンヴァンコは、父がハワードスタークのせいで没落したと信じている。「アイアンマン2」は二組の親子の因縁の対決にもなっているのだ。父への憧れやコンプレックスが正の方向へ向いたのがトニーであり、負の方向へ働いてしまったのがイワンなのである。2世代にわたる対決はMCUの世界観に深みを与えている。長い年月の中で繰り広げられる人間ドラマは、この歴史がまるで現実と並行して積み重ねられてきたかのような感覚を与える。「アベンジャーズ」への布石としての役割は十分果たしているだろう。