読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

えいがのはなし

映画に対する感想を自由にまとめたものなのでネタバレを含むレビューがほとんどです。未見の方は注意してください!

デッドプール / ヒーロー映画の壁を突き破れ!

デッドプール デップー アメコミ マーベル アクション ヒーロー コメディ 20世紀フォックス ライアンレイノルズ
f:id:StarSpangledMan:20160601113224j:image
全米公開から4ヶ月。待ちに待ったデッドプールがついに日本上陸。ヒーロー映画としては珍しいR指定にもかかわらず記録的大ヒットを各国で樹立。期待値を上げに上げまくって劇場へ向かったが、とても満足のできる内容だった。

まずいちばんの魅力はデッドプールのキャラクター。早口で下ネタにブラックジョーク、メタ発言を繰り出していく。息つく間もなくどんどんネタを投下するのでまったく飽きない。下ネタは小学生レベルから生々しいものまでしっかり全ジャンル揃えている。人種や障害をネタにした際どいジョークもあるが、デッドプールの特徴とも言えるのはそのメタ発言である。フィクションのキャラクターであることを自覚しているため、X-MENシリーズや演じるライアンレイノルズはもちろん、製作者や予算の低さまでネタにする。そして観客にも結構話しかけてくれる。上手くやらないと寒くなってしまうんだけど、これが絶妙なバランスで保たれているから冷めない。あくまでデッドプールというキャラクターを肉付けする上で必須の要素になっている。

ふざけ尽くしているデッドプールだけど、ストーリーの核は純愛。生涯添い遂げることを誓った愛する女性、ヴァネッサに元の顔で会うため、そしてフランシスに誘拐された後はその命を守るため、彼は全てを捧げる。悪いこともたくさんやってきた彼だけど、"愛する女の前ではヒーローでありたい"という気持ちは不動だ。ヴァネッサのためならなんでも頑張る。悪党の首を斬り飛ばし、脳天を弾丸で撃ち抜くその全てが愛するヴァネッサというのが良い。さいきんのアメコミ映画は"スケールが大きくないと観客を満足させられない"という強迫観念に支配されてインフレ傾向にあるのが現実。いい加減それに疲れる観客も増え始めたこのタイミングで公開されたデッドプール。本作はアメコミ映画界の流行に真っ向から挑む。私欲と非常にパーソナルな理由で戦うコンパクトさが心地よい。

こじんまりとしているのは低予算のためでもある。特にバトルシークエンスの舞台となるのは前半の高速道路、回想シーンの研究所、廃船(アベンジャーズのヘリキャリア?)の3つ。4月公開の「シビルウォー」では前半で既にラゴス、ウィーン、ブカレスト(アパート)、ブカレスト(高速道路)と目まぐるしく場面が移り変わり、各地でバトルが繰り広げられていたことを考えると非常に規模が小さい。しかしデッドプールはその低予算を誤魔化す術を駆使している。例えば前半のバトルはほとんど高速道路上だが、間に何度も回想シーンを挟むことで同じ場面での戦闘に飽きないようにしている。そしてX-MENのメンバーの数など隠しきれないところは容赦なくジョークにする。とても賢い作りだ。

肝心のバトルの中身だけど、これもとてもレベルが高い。空中でクルクル回り、2つの剣を巧みに使いこなして戦う。すごくカッコいい。漫画的な要素を残した華麗な動きの連続。かなり計算され練られたアクションで、技巧的なぎこちなさは感じさせない。あくまでデッドプールのキャラクターにフィットした力の抜けた戦術を表現している。キックアス的なグロテスクさも最高。悪者が容赦なくなぎ倒されていく様は痛快である。

公開初日のためか、観客もこの作品の鑑賞に意欲的な人が多く、細かい小ネタを拾って笑っていた。おかげで場が温まり、素直に作品の世界を受け入れやすい環境を作っていた。まさしく映画館で見るべき作品だと思う。日本でも流行るといいな〜。