(旧)えいがのはなし

映画に対する感想を自由にまとめたものなのでネタバレを含むレビューがほとんどです。未見の方は注意してください!

Netflix 火花 第1話 / 真夏の出会い

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お笑い芸人の又吉直樹が執筆し、芥川賞を受賞したことで話題になった作品が待望の映像化。期待以上にハイクオリティな出来に驚いた。

売れない芸人徳永が、真夏の花火大会のライブで偶然出会った先輩芸人の神谷に深い感銘を受け、弟子入りを申し出るところから物語は始まる。主人公の徳永はけだるく、少々やる気のなさそうな喋り方をする(林遣都は又吉を意識して演技している?)のだけど、お笑いに対する情熱の名を上げてやろうという向上心は人一倍で、お笑いに全力を注いでいる。しかし一方、うだつの上がらない現状に不満を抱いているし、相方に対しても物足りなさを覚えている。彼の暑さと冷めた感情の入り混じった雰囲気は、8月のジトジトした体力を奪う暑さに重なっていると思う。

対して先輩芸人の神谷。彼は既に完成したお笑い哲学を持っている。徳永はそのぶれない姿勢に惹かれた。この人からは何か学べるし、一緒にいればこのつまらない現状から抜け出せるかもしれない。そういう希望を抱きながらも、どこかで彼の頑固さに気づき、その危うさを予感している。本当にこの人について行って大丈夫なのだろうか?という恐怖に、たくさん新しい刺激を受けて成長したいという好奇心も入り混じり、徳永は複雑な気持ちになっている。だけど、二人のお笑いに対する熱い愛は共鳴し、どうしても引きつけあってしまう。先はわからないけど、とりあえずこの人から学んでみようとなる。この先は、続きを見てみないとわからない。

作品全体に漂うアンニュイな空気も好み。俳優陣も豪華で、安定した面白さを期待できそうだ。2話以降にも期待